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TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

発行:2022/12
更新:2023/07
EMシステムズ(以下、当社)は2021年12月にTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同をいたしました。
当社は、医療・介護および福祉システムを取り扱う企業として、日本全国の取引先様に対しサステナブルな医療体制を提供する上で、気候変動への対策は不可欠であると考えております。当社の経営理念は、「人と地球の健康に貢献し続けます」を一番初めに掲げており、それだけ従業員間での気候変動についての課題を考える「合言葉」でもあります。

当社の従業員が地球の健康を考え、一人一人何が出来るのかを考えるとともに、経営戦略や現存の事業活動において新たな課題が発生していないかを見直すタイミングとしてTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)を活用し、分析を実施しています。

今後も、気候変動についての機会とリスクの分析を行うとともに、ガバナンスを強化し、積極的な情報開示とその充実に努めてまいります。
また当社は国内組織であるTCFDコンソーシアム(気候変動関連財務情報開示タスクフォースコンソーシアム)に参加しております。

はじめに(本サイトの位置付け)

EMシステムズは、人々の安全・安心な暮らしを支え「人と地球の健康に貢献し続ける企業」として、 ステークホルダーの皆様との対話を深めながら、脱炭素社会の実現や、より一層働きやすい組織・会社づくりに取り組みます。

本サイトは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を受け、気候変動関連リスク、及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標目標の4つの分野を記述し、シナリオ分析結果と今後の見通しについて開示を行うものです。
気候変動リスクについての機会とリスク分析については必要に応じて見直し、更新を実施して参ります。
TCFD推奨開示項目
ガバナンス 気候関連リスクと機会に関する組織のガバナンス 1. 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制
2. 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割
戦略 ビジネス・戦略・財務計画に対する気候関連のリスク及び機会の実際の及び潜在的な影響(重要情報である場合) 3. 組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会
4. 気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響
5. 2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候関連シナリオに基づく検討を考慮した、組織の戦略のレジリエンス
リスク管理 気候関連リスクの識別・評価・管理の状況 6. 気候関連リスクを識別・評価するプロセス
7. 気候関連リスクを管理するプロセス
8. 気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の総合的リスク管理にどのように統合されているか
指標・目標 気候関連リスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標(重要情報である場合) 9. 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標
10. 温室効果ガス排出量と、その関連リスク(Scope1、2、3)
11. 組織が気候関連リスク及び機会を管理するために用いる指標、及び目標に対する実績

シナリオ分析概要

シナリオ分析は環境省 地球温暖化対策課が発行した「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド ver3.0~」およびTCFDコンソーシアムの発行する「気候関連財務情報開示に関するガイダンス 3.0」を参考に自社内ワーキンググループで検討し、分析と結果の取りまとめを行いました。

将来の気候変動のシナリオは国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)によって考えられた2つのRCPシナリオ、RCP8.5(4℃シナリオ)およびRCP2.6(2℃シナリオ)を使用して分析しました。
シナリオ名称温暖化対策平均(℃)可能性の高い範囲(℃)
RCP2.6(2℃)対策あり+1.0+0.3~+1.7
RCP8.5(4℃)対策なし+3.7+2.6~+4.8

1. 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制

気候変動関連課題については、定期的に取締役会と役員層で構成されるサステナビリティ委員会で議論されております。また、当社における取締役会の議長は代表取締役社長執行役員が担当しております。
サステナビリティ基本方針でも掲げているとおり、EMシステムズは、「人と地球の健康に貢献し続ける」という経営理念のもと、「事業を通じた持続可能な社会の実現」を目指します。サステナビリティ経営の推進にあたって重要な指標となる4つの重点課題(マテリアリティ)を2021年に新たに策定しました。

2. 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

EMシステムズでは「サステナビリティ委員会」及び「SDGs推進委員会」を設置しております。
役員層で構成される「サステナビリティ委員会」では主に サステナビリティ経営を進めるにあたっての検討や推進・実現方法について検討し、代表取締役社長執行役員を委員長としています。
各社グループの従業員代表で構成される「SDGs推進委員会」では、SDGsの社内啓蒙・推進や温室効果ガスの削減についての検討、 従業員エンゲージメントの向上やSDGs観点での社会課題の解決を加速させるための企画検討・立案を実施しており、取締役を委員長としています。

3. 組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会

当社では、TCFDが定義するようなハイリスクセクターには所属しておらず、近似の事業は行っていませんが、長期で考慮すると気候変動に関連する事業への影響は少なからずリスクとして発生し、洪水や台風の強大化により電源供給が停止するなどの状況により、事業活動の停滞が発生する可能性があるものと考えております。

<短期>(3年以内)
期間別に分けた場合、短期では、台風や洪水等の突発的な気候変動に基づく事象のリスクへの備えは必要であるものの、事業に影響するリスクおよび機会の発生はなく、著しく低い予測をしております。

<中期>(10年以内)
中期では、事業に影響するリスクにおいて少しずつ気候変動リスクが顕在化し、深刻化する状況を認識する社会となり、気候変動に配慮した低炭素商品がより選別される時代になると想定しております。

<長期>(30年以内)
長期では、持続可能な医療体制や情報関連社会のさらなる充実化が求められた社会となっており、気候変動ありきで事業を行う社会へと進展していることが想定されます。

4. 気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

当社は情報通信業であり、GHG排出量が必ずしも高排出ではないセグメントに属しているものの、気候関連による電力需給の高騰や炭素税発生、電力設備などの規制強化によりリスク及び機会が及ぼす組織への影響は慎重に分析を重ねる必要があると考えております。

5. 2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候関連シナリオに基づく検討を考慮した、組織の戦略のレジリエンス

当社では、気候関連リスクおよび機会の特定をリスクマネジメントや事業継続計画(BCP対策)の中で実施しております。リスクマッピングおよび財務分析を行った結果、2つの方向に分かれる分析結果となりました。

4℃シナリオにおいては、事業への影響度が極めて大きく、甚大な被害が発生する事は必至となる想定であることから、当社へのビジネス戦略や財務諸表への影響は少なからず発生し得るものだと考えております。2℃以下シナリオでは、発生頻度や現象の予測が事前にでき事前に予防や対策が打てることから、事業への影響は軽微であると考えております。

6. 気候関連リスクを識別・評価するプロセス

評価においては、社内における気候関連以外のリスク管理も含めた評価プロセスの中で、発生頻度と事業への影響度を掛け合わせた範囲において、財務影響が発生すると見込まれる対象を特定しております。

7. 気候関連リスクを管理するプロセス

気候関連リスクは年次で発生した事象を見据えながら、随時、事業継続計画(BCP対策)の見直しを含め管理部門でリスク管理を行います。必要に応じて「サステナビリティ委員会」または「取締役会」に報告を行います。

8. 気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の総合的リスク管理にどのように統合されているか

気候関連リスクは組織内における総合的なリスクマッピングの中で定義されます。
当社内で評価するプロセスとしては「1.気候変動や天災によるリスク」、「2.経営要因によるリスク」、「3.内的要因によるリスク」、「4.外的要因によるリスク」の4つのカテゴリで分けております。このうち、気候関連リスクは「1.気候変動や天災によるリスク」に当てはまります。

9. 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標

当社では、2022年2月に中期経営計画の見直しを発表すると同時に、サステナビリティ経営推進のため、「サステナビリティ委員会」にてマテリアリティの策定および長期目標の設定を行い公表を行いました。気候変動関連の長期目標については下記の通りです。
マテリアリティ取り組み概要長期目標 KPI(2030 年)
「ありがとう」をつなぐ 環境への取り組み
  • 環境負荷の低減に配慮した製品開発
  • クリーンエネルギーの活用
  • 環境負荷・気候変動に対応するリスク管理
  1. 当社の電気使用量と 温室効果ガス排出量 2020年比 50%削減
  2. 当社製品・サービスによる DX 効果による温室効果ガス排出量 2021年比 40%削減
  3. 電子契約実施比率80%(2025年)

10. 温室効果ガス排出量と、その関連リスク(Scope1、2、3)

Scope1および2、Scope3の排出量は、2020年12月期では624.52t-CO2、618.03t-CO2、22,100.51t-CO2となりました。Scope1は⾞両で使用するガソリンを対象としております。主にエネルギー使用量をもとに算出を⾏っておりますが、使用量での把握が困難なものに関しては、エネルギー使用⾦額での算出を⾏っております。
Scope2は、主に当社ならびに関連子会社の各事業所で発⽣する電気消費を対象としております。
Scope3は間接的な温室効果ガス排出量で、事業領域において算出が可能なものについて計算を行いました。中でもカテゴリー11(製品の使用)がもっとも多い結果となりました。カテゴリー11は、当社からお客様へ販売を⾏ったPC・プリンタを対象としております。

11. 組織が気候関連リスク及び機会を管理するために用いる指標、及び目標に対する実績

中期経営計画と共に設定した長期目標設定においては、「1.当社の電気使用量と温室効果ガス排出量 2020 年比 50%削減」、「2.当社製品・サービスによる DX 効果による温室効果ガス排出量 2021 年比 40%削減」、「3.電子契約実施比率80%(2025年)」の3点を掲げております。2022年時点での実績は、CO2排出量(Scope1+2)で1193.16t-CO2、DX 効果による温室効果ガス排出量実績は2021年度で7,616t-Co2eqとなりました。

気候関連リスク・機会に対する
事業インパクト(財務影響と事業リスク)評価と当社の対応

分類リスク項目事業インパクト事業機会当社の対応
大分類小分類影響期間事業リスク財務影響度
移行リスク
(1.5℃~2℃
シナリオ)
政策・
法規則
炭素税中・
長期
炭素税の導入-再生エネルギー由来電力の検討
省エネ規制長期環境配慮型の
設備投資コストの増加
-LED電灯などへの切り換え
社用車(ガソリン車)使用の減少
どこでも勤務継続できる
働き方の検討
批評市場環境中期脱炭素移行しない
企業への評判低下
IoTを活用した
医療テクノロジー
の普及
ウェブサイト、
CDPなどでの情報開示
物理的リスク
(4℃ シナリオ)
慢性平均気温
の上昇
中・
長期
平均気温上昇に伴う
各種事業経費の高騰
-省エネ型空調機への入れ替え
どこでも勤務継続できる
働き方の検討
災害の激甚、
頻発化
中期災害による営業・
サービス機能の停滞と
売上の減少

-BCP対策の強化
サプライチェーン強化
海面の上昇長期海面上昇による医療機関や
介護施設の建設・開業制限
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急性災害の激甚、
頻発化
中期台風の頻発化、
被災時の設備
復旧コストの増加
自然災害対策コスト増加
-BCP対策の強化
サプライチェーン強化
<影響期間定義>短期:3年以内、中期:10年以内、長期:30年以内
<財務影響度>小:1億円以下、中:10億円以下、大:10億円以上